日本は無宗教の人が多いかと思いますが、ネパールでは5つもの宗教が混同しています。
今回は、ネパールの宗教の割合と特徴・クマリやカーストとの関係など、ネパールの宗教についてわかりやすく説明していきます。
ネパールの宗教の割合
ネパールは、近年までヒンドゥー教を国教としていた王国です。
現在は、ヒンドゥー教は国教ではありませんがその影響は大きく、ネパールの中でも最大の宗教はヒンドゥー教だとされています。
ネパールの全人口の81.3%もの人が、ヒンドゥー教を信仰しています。
僕も、ヒンドゥー教徒です。
確かに、この数字を見ればネパールの大半の人がヒンドゥー教徒であることがわかりますが、
残りの19.7%の人たちは何を信仰しているのでしょうか。
かなり割合が低いものの、仏教やイスラム教、キラント教、キリスト教の信仰者がいるといわれています。
ネパールの宗教の割合で見てみると
- 仏教 9%
- イスラム教 4.4%
- キラント教 3%
- キリスト教 1.4%
- その他 0.9%
となっています。
ネパールの宗教の特徴を分かりやすくご紹介!
上にある通り、ネパールでは主に5つの宗教が信仰されています。
それぞれの宗教に特徴があるので、それらを詳しく見ていきたいと思います。
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教は信仰者数は約9億人と仏教徒よりも多いにも関わらず、宗教圏が極めて狭いという特徴があります。
インド・ネパール・バングラデシュの3か国でしか信仰されていないんです。
また、ヒンドゥー教の最大の特徴としては、多神教であることが挙げられます。
私は個人的には神様って唯一の存在だというイメージを持っているのですが、ヒンドゥー教では神様は無数に存在しています。
ヒンドゥー教では、石やアリなど、全てのものに神様がいると信じられているのです。
その中でもブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァを三大神として信仰しているのです。
ブラフマーは創造神でこの世界を創った神、ヴィシュヌは維持神、シヴァは破壊神です。
破壊神といってもただ水害など災いを起こすだけでなく、植物に水を与えるといった恩恵ももたらします。
仏教
仏教は、我々日本人にも少しは馴染みのある宗教ですよね。
仏教の最大の特徴は「因果の道理」という考え方にあります。
道理とは、いつでもどこでも変わらない真理のことをさします。
つまり、何があっても変わらない真理が「因果」だということを示しています。
もっと簡単に表現するならば「すべての結果には必ず原因がある。それが、世の中の真理である」ということです。
因果には、善因善果、悪因悪果、自因自果、の3つがあります。
これが仏教の教えを表しています。
- 「善い行いには善い結果がついてくる」
- 「悪い行いには悪い結果がついてくる」
- 「自分のまいた種は自分が収穫しなければならない(自分の行動に責任を持つ)」
というのが、仏教の教えでありこの考え方が仏教の特徴です。
イスラム教
イスラム教の特徴としては色々なものがありますが、その中でも信仰対象と服装について挙げていきます。
まず、ヒンドゥー教と異なりイスラム教は一神教です。
神様は唯一の存在であり、「アッラー」と呼ばれています。
また、イスラム教徒は女性の格好も特徴的です。
女性は美しい部分を家族以外の男性に見せてはならない、というルールが存在します、
その「美しい部分」は地域によって異なるため、様々な服装があるのです。
ちなみにネパールでは、肩や膝を露わにすることが禁じられています。
肩や膝を露わにすることが無礼だとされているため、例えイスラム教徒でなくても、私たち日本人が旅行に行く際は服装に注意が必要です。
あまりにも短い短パンやオフショルのトップスは、避けた方が良いでしょう。
キラント教
キラント教はムンドゥ教とも呼ばれる宗教で、あまり日本では聞きなれない宗教ですよね。
この宗教は、ネパールやミャンマー、インドに住むキラント族という民族に信仰されている宗教でシヴァ神を信仰している宗教です。
キラント族を構成する4つの部族がネパールに住んでいるため、キラント教も一部で信仰されています。
キラント教の特徴としては、他の宗教の要素が混同している部分にあります。
具体的に言うと、アニミズム、シヴァ神信仰、の2つがキラント教の特徴です。
アニミズム(全てのものに神がいるという信仰)はユダヤ教やキリスト教でも採用されていますし、シヴァ神の信仰はヒンドゥー教の三大神の1人です。
このように、キラント教独自の何かがあるというよりは、他の宗教を融合させたものがキラント教だと思ったほうがわかりやすいかもしれません。
キリスト教
キリスト教は、誰もが知る有名な宗教ですよね。
ネパールではかなり少数派ですが、日本でもキリスト教を信仰している方はいらっしゃいます。
キリスト教の特徴は「愛の宗教」といわれるところです。
キリスト教の基本的な考え方は「神を信じ、祈れば誰もが救われる」とのことですが、隣人愛というものをとても大切にしています。
つまり、神が人を愛したように人同士も愛すべきだという考え方が浸透しています。
また、日曜日に集会が行われるのも特徴の一つです。
私の友人はキリスト教を信仰していましたが、日曜日に集会に行かなきゃいけないからと学校行事をたびたび休んでいました。
これは何よりも優先されるべき事項のようです。
ネパールの宗教とお酒の関係
宗教によってはお酒が禁止されているものもありますが、そもそも宗教とお酒にはどんな関係があるのでしょうか?
宗教にも色々なものがありますが、酒を神聖な場面で扱い特別なものとしている宗教と、
酒が人や社会に悪影響を及ぼすとしている宗教に分けられます。
昔、泥酔による人の行動は医学的に解明されておらず、悪魔や呪術によるものだと考えられていました。
この考えから酒は人に悪影響を及ぼすとみなされてしまい、禁じている宗教が多いのかもしれませんね。
その一方で、様々な宗教の中で祭りなどのイベントに酒は利用されています。
宗教によって考え方が異なるんですね。
ちなみに、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教では酒は禁じられていますが、キリスト教では許されています。
ネパールの宗教とクマリの関係
クマリについては、こちらの記事を参考にどうぞ↓
ネパールでは、5つの宗教が混同していますが、クマリはそれぞれの宗教の女神の生まれ変わりとされています。
つまり、信仰している宗教に関係なくネパールの人たちはクマリを信仰しています。
とはいえ、クマリになる人は仏教徒でなければならないという宗教的な制約もあります。
ネパールの人々は、それぞれの宗教における女神様の生まれ変わりだと信じていますが、国教であったヒンドゥー教徒でないのが不思議な点です。
この点については、いくつか諸説ありますが仏教とヒンドゥー教の間で宗教戦争が起こらないようにするためだとされています。
つまり、パワーバランスの問題だと思います。
仏教徒はヒンドゥー教徒より地位が低いとされています。
しかし、クマリという国王さえも頭を下げる存在を仏教徒から選出することで
「地位は低いけど、クマリがいる」という状態にしたのではないでしょうか。
現代でいう、三権分立のような状態です。
ネパールの宗教とカーストの関係
カースト制度といえば、思い浮かぶのはヒンドゥー教におけるものではないでしょうか。
生まれつき身分が決まっているというもので、努力や善行によって変えることはできないといわれています。
しかし、このカースト制度から逃れる方法として改宗があります。
これには、大昔にアーリヤ人が先住民を征服する過程で肌の色の異なる人たちを差別したという背景が関係しています。
後に手工業や商業が発達し、それによってもたらされた貧富の差がさらに身分を固定化させたといわれています。
そんな時に、「神の誕生以前は誰もが平等だった」という考えを持つイスラム教が入ってきて、宗教を改宗する人が増えました。
つまり、ヒンドゥー教を信仰していた人たちが他宗教を信仰し始めることによってカースト制度から逃れようとしたんですね。
カースト制度は宗教によって始まったものですが、唯一の救済措置がまた宗教によるところも特徴なのかと思います。
ネパールの宗教:まとめ
ネパールはヒンドゥー教の国と思われがちですが、その他にもいくつかの宗教が混在している国だと言えることがわかりました。
日本だとあまり馴染みがないかもしれませんが、宗教色が強いネパールだとこのように色々とあるんですね。
↑ネパールの宗教と食事の関係については、こちらについてをどうぞ!
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